小野薬品工業の2020年度第1四半期決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

今回はオプジーボで一躍有名になった小野薬品工業です。

オプジーボは腫瘍免疫学の長い低迷期を抜け出して、ようやく世に出てきた免疫チェックポイント阻害剤です。

新しいがん薬物療法ということで非常に注目を浴びましたが、発売以降は薬価が高過ぎると言われ、4年で4分の1まで下がるという憂き目に遭いました。

ただ、それでもは発売時の悪性黒色腫から始まり、肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、胃がん、頭頸部がん、食道がんと適応拡大によって処方患者数を伸ばし、900億規模の売上をキープしています。

一方で最近ではオプジーボの研究でノーベル賞を取った本庶先生が小野薬品工業に対して訴訟を起こしたかと思えば、その研究室の元大学院生から本庶先生が提訴されるといったゴタゴタもあったように話題に事欠かない薬剤という側面もあります。

そんな良くも悪くもいつも話題を振りまいてくれるオプジーボが中心にはなってしまいますが、それ以外の薬剤も含めて今回は小野薬品工業を見ていきたいと思います。

それでは決算資料を見ていきましょう。

詳しくご覧になりたい方はこちらhttps://www.ono.co.jp/jpnw/ir/pdf/k_setsumei/20200731_1.pdf

2020年度第1四半期決算

2020年度第1四半期決算説明会資料より

まずこのシンプルな感じ、良いですね。

最近はIR資料を見るようになったので、投資家に対しての姿勢も会社によって異なるんだな、と気付いたのですが、相手に見やすく、わかりやすくすることは会社の姿勢としてやはり重要だと感じています。

さて、売上収益を見ると前年1.3%増の749億円で堅調に推移していますね。

製品売上、ロイヤルティもそれぞれ少しではありますが、プラスで着地しています。

また、製品売上は532億円で年間では2000億円規模ということになりますので、国内の医療用医薬品売上においては上位に食い込むメーカーになってきていると思われます。

製品別で見てみると?

2020年度第1四半期決算説明会資料より

製品別に見ますと、やはりオプジーボの存在感が際立っていますね。

特に今年は薬価再算定がようやく落ち着いたこともあり、前年を9.5%上回る成績を出しています。

このペースでいくと再度1000億円の大台も見えてきましたね。

オプジーボに関してはがん腫別にもいろいろ見ていきたいので、それは後ほどにします。

次に来るのがグラクティブ、フォシーガと糖尿病関連ですね。

フォシーガに関しては現在でも伸びていますし、心不全の適応申請を行っていたり、糖尿病性腎症の臨床試験結果もポジティブだったりとまだまだ伸びしろは十分ありますので、今後も期待ができます。

一方でグラクティブは発売から第一線を走ってきましたが、息切れ感が出てきましたね。

後発品の発売も数年以内にあるでしょうからここの売上カバーは今後重要になってきます。

そして、ブリストルとコプロのオレンシアは関節リウマチなどの激戦区において好調です。

その他では認知症のリバスタッチは後発品が承認になったので厳しいですが、多発性骨髄腫のカイプロリスに関しては適応拡大などもあり、少しずつ伸びていますね。

このように全体的に見ると比較的良好な状態と言えるのではないでしょうか。

オプジーボのがん腫別内訳は?

2020年度第1四半期オプジーボの動向より

オプジーボの売上を見る上で一番重要なことはどの適応にどれだけ使われるようになっているか、です。

それを知る方法はなかなかないな、と思っていたところ、今回IR資料を見て初めて知ったのですが、小野薬品はオプジーボだけで別途スライドを用意しているんですね。

これは外部から状況を把握するに当たっては非常にありがたかったです。

適応の多い大型製品に関しては他の企業もぜひ真似してほしいところです。

オプジーボ売上構成

2020年度第1四半期決算オプジーボの動向より
2020年度第1四半期決算オプジーボの動向より

こちらをご覧頂くと、2019年度以降肺がんの売上が下がっていますね。

これはキイトルーダが1stラインに定着して、さらにテセントリクも出てきて出所がなくなってしまっているので、しょうがないかと思います。

腎細胞がんに関しても現時点では1stラインの処方が取れているようですが、今年度に入り、キイトルーダやバベンチオがTKI併用で適応拡大してきていますので、安泰とは言えないでしょう。

一方で消化器がんは充実してきている印象です。

食道がん

2020年度第1四半期決算オプジーボの動向より

2月に適応拡大した食道がんは肺がんの売上減少をカバーできるほどのインパクトを初年度から残しています。

やはりこれまで2次治療で期待できる治療がなかった中でオプジーボが出てきたことは医師にとっても患者さんにとっても大きな出来事であったということでしょう。

これを見ると治療が十分でない領域に薬を届けるのがいかに大事かがわかります。

アンメット・メディカル・ニーズってやつですね。

また、つい先日には術後補助化学療法の試験でも主要評価項目を達成していますので、適応拡大が見込めます。

こちらも取れると大きいです。

というのも、これまではオプジーボが使われるラインは進行再発のLateラインが多かったこともあり、投与が1ヶ月、2ヶ月しかできない場面も多かったのです。

一方で術後補助化学療法であればほとんどの場合進行することなく、比較的安全に4ヶ月間通常通りに投与して、その後月1回投与を進行まで続けていくということですので、1例あたりの売上は大きく向上することが考えられるのです。

胃がん

また、胃がん(CPSが5以上)も化学療法併用1stラインの試験で良好な結果が得られています。

元々胃がんでは3rdラインの使用に留まっていましたので、使用される場面も少なく、投与期間も短かったのですが、これが一気に改善すると考えられます。

このように肺がん、腎細胞がんは厳しい状況もありますが、食道がん、胃がんでカバーできる見込みがあるといえるでしょう。

開発状況は?

2020年度第1四半期決算開発状況資料より

こちらをご覧頂いてわかりますように昨年度は申請ラッシュですね。

この数を申請しているのは結構珍しいのではないかと思います。

この中で注目されるのは肺がんのCheckMate227ですかね。

ただ、1stラインに関してはキイトルーダと化学療法との併用療法が絶対的な結果を出してしまっているので、検査なども少し面倒と考えると普及はしないかなといったところです。

あとは多発性骨髄腫のカイプロリスがダラザレックスとの併用でも申請しています。

1stラインの治療によるところではありますが、条件に合致する施設ではスタンダードな2ndライン治療になるかもしれません。

それ以外にも対象はどうしてもニッチになりますが、BTK阻害剤や大腸がんBRAF変異に対する併用療法なども個人的には期待していたりします。

まとめ

ということで、今回は小野薬品工業の決算を見て考えたことを書いてきました。

私がMRを始めた10年ほど前は小野薬品工業といえばゴリゴリの営業会社というイメージで、関係性で使ってもらうような印象を持っていたのですが、ここ数年で大きく変わってきているように思います。

この変化はオプジーボが出てきたことが何よりも大きくはありますが、それだけではなく、その売上を研究開発や販売提携、ライセンス契約などに投資して地盤を固めているからだと感じました。

MRとして入社するにしてもオプジーボであれば幅広くオンコロジーに関われますし、免疫に関する知識も必要です。

血液がん領域にも知見を広げられる利点がありますので、やりがいは十分ありそうですね。

引き続き注目していきたいと思います。

それでは、最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

コータロー

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