【製薬向けビジネスにも参入!?】メドレーの決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

今回は医療IT企業として非常に注目度の高いメドレーについて見ていきたいと思います。

なぜメドレーかと言いますと、ついに製薬業界向けのビジネスもスタートさせるからです。

製薬業界はエムスリーの登場により、大きく構造が変化していっておりますので、今回のメドレーの製薬業界向けビジネス開始も把握しておく必要があると考えました。

それではよろしくお願いします。

メドレーについて

まず改めてメドレーがどんな会社なのか見ていきます。

事業は大きく2つに分けられます。

・人材プラットフォーム事業

・医療プラットフォーム事業

人材プラットフォーム事業

2019年12月期決算説明会資料より

1つ目はこちらの医療ヘルスケア領域における人材採用システムジョブメドレーです。

MRをしていてもよく聞く話ですが、医療ヘルスケア業界は慢性的な人材不足を抱えていますし、コロナの影響により、退職される医療従事者も多いと言われています。

この事業においては求職者と事業所のマッチングだけではなく、有資格者の復職や地域偏在課題に対してもアプローチを行っているようです。

ただ、これだけ見るとよくありそうなビジネスモデルに見えてしまいます。

どういった点が魅力的なのか見ていきましょう。

2019年12月期決算説明会資料より

おそらく何よりも大きいのは低コストで価格優位性があることです。

一般企業もそうですが、人材紹介会社を介して採用する際に大きな問題となるのは価格です。

人材紹介企業は転職を成功させることにより、採用した企業から平均して30%も成果報酬をもらう仕組みになっているからです。

しかし、このメドレーのサービスにおいては大半をオンラインで完結することにより、成果報酬を2〜13%に抑えているとのことです。

これは凄いインパクトです。

特に医療施設や介護施設は大半が儲かっているわけではありませんので、人を採用したくても採用に費用を掛けられないというケースが多いです。

そのようなターゲットに対して非常に魅力的なビジネスモデルだと感じました。

2019年12月期決算説明会資料より

少し懸念があるとすれば、転職という人生を左右するような場面において、人を介さないでも安心感を得られるのかという点ですが、これだけ順調に顧客事業所数が増えているのであれば、杞憂と言えそうです。

正直なところ、自分が転職サービスを利用する際も求人票があり、メールである程度のやり取りができれば十分な気がしていますので、求職者側から見ても問題ないのでしょう。

2019年12月期決算説明会資料より

コストに加えてもう一つ優位性があるのがターゲティングです。

元々この医療ヘルスケア領域では3割を占める医師、薬剤師、看護師の転職サービスは盛んでしたが、それ以外の職種で占める7割に対しては満足したサービスがなかったようです。

それに対し、メドレーは50職種で登録者を獲得できていることから、競合が激しくない領域からトップシェアを目指す戦略で進めてきました。

このように後発は競合優位性が作りにくいと言われる人材事業においても、差別化により確実に成長を遂げているのです。

医療プラットフォーム事業

2019年12月期決算説明会資料より

そしてもう一つの事業が医療プラットフォーム事業です。

「CLINICSオンライン診療」は2016年にサービスを開始し、導入シェアNo.1になっているようです。

2020年度第2四半期決算説明会資料より

特に今年はオンライン診療が一気に進展した年になりましたので、それに合わせてこの事業も大きく拡大しているようですので、決算内容は後ほど見ていきます。

ビジネスモデルはSaaSで医療機関からシステム利用料をもらう形ですね。

また、オンライン診療だけではなく、予約・問診票のシステムや電子カルテの機能もクラウド経由でシステム利用ができる仕組みになっています。

2020年度第2四半期決算説明会資料より

電子カルテもこれまでは1回買い切りスタイルで初期費用が莫大に掛かるオンプレミス型が主流でしたが、SaaSの方が利用者にとって気軽ですし、保守でわざわざ業者を呼んでといったことが発生しにくいと考えると徐々に浸透していく可能性が高いです。

このように人材プラットフォーム事業、医療プラットフォーム事業で共に成長している会社がメドレーというわけです。

2020年度第2四半期決算

2020年度第2四半期決算説明会資料より

それでは今期の決算についても見ていきましょう。

人材プラットフォーム事業では新型コロナの影響で入社時期の遅れが生じたようですが、緊急事態宣言解除後の6月に売上がずれ込んだ程度で結果しっかり増収しています。

2Qに売上が大きくなるのは医療ヘルスケアの領域の転職が4月に集中するからとのことです。

2020年度第2四半期決算説明会資料より

また、医療プラットフォーム事業に関しては元々知名度とは逆に売上の比率は低かったのですが、コロナ禍においてオンライン診療の初診が時限的に解禁になったこともあり、大きく導入が増えています。

昨年と比べると3倍以上の売上と凄いことになっていますね。

利用事業所数も一気に2倍に増えています。

2020年度第2四半期決算説明会資料より

また、売上、利益だけでなく、顧客事業所数とARPU(顧客あたりの売上)も順調に増えていってますので、今後の成長も予測しやすい状況になっています。

MRでいうと面が広がって、大口先も作れてきているという感じですかね。

そして製薬企業向けサービスにも参入

2020年度第2四半期決算説明会資料より
2020年度第2四半期決算説明会資料より

そして本題の製薬業界向けサービス参入です。

新型コロナの影響により、製薬企業・医療機器企業から問い合わせが一気に増えた結果、当初の予定より前倒しで新会社設立に至ったようです。

事業内容は医療プラットフォーム事業での資産を活用しながら患者の医療体験や治療効果を目指す様々なサービスということで、いくつか事例が出ていますので、見ていきましょう。

PHR(Personal Health Record)アプリ

こちらは患者個人の診療情報や服薬履歴などといった医療情報や健康状態を管理するアプリです。

患者自身が入力することもそうですが、電子カルテの情報を共有したり、スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスを活用してバイタルなどのデータを蓄積することもできます。

医療のICT化といった意味でも非常に注目されている領域で既に上場を果たしているWelbyが有名ですね。https://welby.jp/ 

これを活用することにより薬と関係なく、治療成績が向上するといったデータも出てきています。

ただ、アプリを利用していても電子カルテと必ずしも連動しているわけではないので、診療の手間を省くまでには至っていないようです。

一方でメドレーであればクラウド型の電子カルテも展開していますので、より親和性が高いと言えるでしょう。

ePRO(電子患者報告アウトカム)

こちらは主に臨床試験で患者自らが症状の評価、報告を行い、それをデジタル化して分析し、アウトカムを改善させようという取り組みです。

こちらはつい先日アムジェンとインテグリティ・ヘルスケアがプレスリリースを出していましたが、まさにオンライン診療とePROにより、診療にどのような変化があるかを検証するようなプロジェクトのようです。

このサービスもオンライン診療導入シェアNo.1の力を生かして進めていくことが考えられます。

DTx(デジタル・セラピューティックス)

こちらはもうまもなく保険適用、発売を見込んでいる禁煙治療用アプリのCureAppがイメージしやすいですかね。

医師が薬を処方するだけでなく、これからはアプリを処方する時代ということです。

これは今のメドレーの事業と密接な気はしないのですが、元々医療をインターネットの力で変えよう、という気概の会社ですので、優秀なエンジニアは豊富に抱えているでしょうし、既になんらかのプロダクトが控えているのかもしれませんね。

医薬情報の適切な伝達

そして最後に最もMRへの影響が強いと思われるこちらです。

製薬企業が、医療従事者のみならず、患者に対しても、インターネットを活用して効率的かつ効果的に医薬情報を提供するサービス(eディテーリング、Patient Support Program等)。

オンライン診療システムにeディテーリング機能をつけるのは簡単にイメージできるのですが、一つ気になるのが、「製薬企業が患者に対してもインターネットを活用して医薬情報を提供するサービス」となっていることです。

患者の支援については患者会に資金提供する、市民講座を後援するなど、だいぶ間接的にでないとできない印象なのですが、営業の側面がないということを前提に製薬企業と共に模索しているのかもしれません。

新会社をリードするのは

そして、この新会社の社長を務めるのが直近までIQVIAソリューションズ(旧IMS)の社長を務めていた方であるということにも驚きました。

IQVIAというとヘルスケア業界では有名で医療データ、CRO(開発受託)、CSO(営業・マーケティング支援)、コンサルティングのそれぞれでトップシェアを持つ企業です。

そこで社長を務めていた方がわざわざ上場して間もないメドレーの子会社に移るというのは、なかなか衝撃的なことだと考えています。

この新会社によほどの魅力があるのか、絶対勝てる見込みがあるのか、前職を追い出されたのか、凡人には知る由もありませんが、注目していきたいと思います。

そして、メドレーとしても製薬業界向けにサービスを展開する上ではこれ以上ない採用と言えるでしょう。

この万全な体制での参入は製薬業界からすると恐ろしさすらあります。

エムスリーのようにどんどんマーケティング費用を持っていく可能性もありますし、開発やPMSなどにも影響してくるのではないかと考えています。

ただ、一方で医療プラットフォーム事業で顧客となっている医療機関はコロナ禍で増えたとはいえ、2000程度です。

医療機関全体のほんの一部をカバーしているに過ぎないですので、製薬企業としては飛びついたとしてもすぐに効果を発揮するのは難しいのではないか、とも個人的には思っています。

まとめ

ということで、今回はついに製薬企業向けサービスに参入してくるメドレーについて見てきました。

設立から10年ほどにも関わらず、順調に事業を伸ばしており、決算発表資料を見ていてもスマートで見やすくグラフも嘘のようにきれいに右肩上がりを示していますので、凄すぎて嫉妬心すら覚えました。

ただ、社会貢献度の高いビジネスをしていることは間違いないですので、今後も引き続き見ていきたいと思います。

興味を引き出され、なかなかの分量になってしまいましたが、もし最後までご覧頂いた方がいらっしゃいましたらすごく嬉しいです。

ありがとうございました。

コータロー

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