第一三共2020年度第1四半期決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

前回アステラス製薬の決算について書きましたが、こちらもこのブログにしては多くの方にご覧頂きましたので、引き続き決算を見て考えたことを記していきたいと思います。

今回は第一三共です。

一般的な印象としては循環器領域に強いメーカーというイメージですね。

私も同様で循環器に強いイメージはもちろん、どのエリアにいってもMRが真面目に回っていて医師としっかり信頼関係を築いている印象でした。

実際に外部アンケート結果でもMR評価が7年連続1位ということで医師からも高く評価されているようです。

そんな医師からもMRからも評価されている第一三共ですが、業績はというと売上1兆円を前に足踏みが続いています。

また、それにより国内製薬企業の売上ランキングでもここ数年トップ3に入れていないのです。

第一三共HP財務ハイライトより

その原因はというと、グローバルの売上が大きくなっていないからです。

第一三共HP財務ハイライトより
第一三共HP財務ハイライトより

特に世界最大の市場である米国で売上が伸びていないことはこの状況に甘んじている最大の要因と言えるでしょう。

ただ、逆に言うと日本市場での売上はトップクラスを何年も継続しているということです。

それにより、2000人を超えると言われるMR数でも1人あたり2億円以上の生産性を確保できているのは凄いことと言えます。

それではこれからの第一三共はどうなのか、決算発表資料とともに見ていきたいと思います。

よろしくお願いします。

くわしくご覧になりたい方はこちらからhttps://www.daiichisankyo.co.jp/ir/calendar/files/005478/2020%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%AC%AC1%E5%9B%9B%E5%8D%8A%E6%9C%9F%20%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%AA%AC%E6%98%8E%E4%BC%9A%E8%B3%87%E6%96%99_2.pdf

2020年度第1四半期決算の概要

第一三共2020年度第1四半期決算説明会資料より
第一三共2020年度第1四半期決算説明会資料より
第一三共2020年度第1四半期決算説明会資料より

今回の四半期決算では緊急事態宣言が真っ只中ということで各社がCOVID-19の影響をどのように書いているのかを個人的に見るようにしています。

第一三共に関しては米国の注射用鉄剤やヘルスケア製品(ルル等)が減益の要因と書いている一方で販売活動の制限による経費減少というように増益についても記載されています。

これは前回見たアステラスの決算発表資料と比べると非常に納得度が高く、信頼できる内容と感じました。

全体感としては売上、利益ともに減少しておりますが、リクシアナの25%薬価再算定があったにしては売上の減少幅が意外と抑えれれている印象でした。

国内市場はどうか

第一三共2020年第1四半期決算説明会資料より

それではここから国内市場について製品別に細かく見ていきます。

まず売上上位のネキシウムとリクシアナはマイナスになっていますが、リクシアナは先程も触れたように市場拡大再算定を25%も食らっていますので、数量ベースでは増えていることになり、コロナ禍でも十分健闘していると言えるでしょう。

話は少し逸れてしまいますが、薬価再算定は個人的にどうしても納得行かない制度のひとつです。

売れたら下げる、適応拡大したら下げる、がまかりとおるなら、どれだけ患者さんのためにベネフィットが大きい薬剤を開発しても企業は儲からなくなります。

研究開発に莫大なお金が掛かるこの業界だからこそ、その平等性は担保してほしいなと思うわけです。

話を戻します。

もう一つの主力製品ネキシウムは発売から10年経過してタケキャブが出てきて以降も酸分泌抑制薬でトップを保っているだけで十分と言えるでしょう。

さすがに今後伸びていくことはないでしょうが、後発品が出るまで微減で持ちこたえることができれば御の字ですかね。

また、メマリーは後発品が出ましたし、販売契約も終了となるようですので、7月以降の売上減少は避けられないところです。

この状況下で気になるのはこれらの売上減少分をカバーできる力があるのかということですが、結論を言うと十分ありそうです。

その筆頭は注目度No.1エンハーツ、ではなくタリージェです。

タリージェはリリカと同様の作用機序を有する神経障害性疼痛治療薬です。

リリカは2019年度に1008億円売り上げたように国内トップクラスの売上を継続している薬であり、対象疾患の特性上なかなか解決には至らない領域です。

また、リリカの後発品が今年出ると言われていますので、プロモーション上で最大の競合となるファイザーやエーザイの存在が急激に弱まるわけです。

そこに第一三共の築き上げてきたプロモーション力が発揮されれば市場が大きく動くことは間違いないと言えるでしょう。

発売した昨年度の売上だけでも80億円と結果を残していますので、それを加味してもここ5年で主力に成長する可能性が高いと感じました。

また、当然ながらHER2のADCであるエンハーツも重要な役割を果たすでしょう。

HER2陽性乳がん3rdラインのみという現適応では大きな売上は見込めないかもしれませんが、胃がん、乳がんHER2低発現、その他肺がん、大腸がんなど適応拡大によって大きな売上も数年後には期待できます。

そして個人的に密かに注目しているのはエフィエントの脳血管障害です。

発売当時はプラビックスを一気に抜き去るのかと期待をしていましたが、そんな勢いは全然なく、長い間、影を潜めています。

ただ、先月プレスリリースでフェーズⅢの主要評価項目を達成したとありましたので、今年申請をして来年後半には適応追加されるのでは、と期待しています。

プラビックスに対して有意差が出たのであれば十分従来の治療を変える理由になるでしょう。

そうなると売上は現在の100億円強の規模から2倍、3倍は期待できると考えています。

このように今回調べていくと、国内市場だけでもなかなか手厚いなと感心してしまうレベルでした。

米国市場は?

2020年度第1四半期決算説明会資料より

しかし、冒頭でも触れたように第一三共はもう一つ大きな課題を有しています。

それが米国市場です。

現在、国内製薬大手でトップ3に食い込んでいる武田薬品、大塚HD、アステラス製薬は米国市場での売上をしっかり確保できていることが第一三共との大きな違いなのです。

ただ、これも決算資料を見る限り、杞憂に終わりそうです。

ここで効いてくるのが、注目度No.1のエンハーツというわけです。

上の図にありますように、第一三共にとって苦手分野と言ってもいい米国市場において相当順調な立ち上がりを見せています。

コロナ禍において医薬品で影響度が高かったのは病院に行かなければ治療ができない注射薬ですので、抗がん剤とはいえ、米国のコロナの状況を踏まえると影響は少なくなかったと考えられます。

この状況下でも口座獲得が順調に進んでいるということは、いかに必要とされているかの表れと言えるでしょう。

米国の医薬品市場は皆さまもご存知のように世界で圧倒的であり、日本が7%程度に対して40%を超える市場となっています。

ここで成功することがどれだけの売上に繋がるかは想像に難くないでしょう。

まとめ

ということで、今回は第一三共の第1四半期決算を見て考えたことを述べてきました。

調べていくうちにこれはまだまだ伸びるな、と確信を持ち、株でも買おうかと思いましたが、既にそのような評価なのかだいぶ伸びているのでそれは諦めました。

私自身が理解できる領域が多かったからか、決算発表資料がわかりやすかったからか、のめり込んでしまいましたが、一言断りを入れておくと、これまで全く関わったことのない会社です。

製薬企業の決算発表資料を見るのが楽しくなってきましたので、引き続きやっていきたいと思います。

最後に今日から問い合わせフォームhttp://kotaromrcareerchange.com/お問い合わせフォーム/(新しいタブで開く)を作りましたので、なにかご指摘や質問などありましたらご連絡頂けますと幸いです。

それではまた。

コータロー

コメント

タイトルとURLをコピーしました