武田薬品工業の2020年度第1四半期決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

今回は日本最大手であり、シャイアーの大型買収により、グローバルでも存在感を示す

武田薬品工業について見ていきたいと思います。

武田薬品工業の売上はシャイアー買収により、3兆円を超える規模の企業となり、国内では頭一つ抜けた存在です。

そして、世界でも2019年度は9位と世界トップ10を担う企業に成長しました。

一方で2015年にクリストフ・ウェバー氏が社長に就任して以降、外資企業化しているのではないか、日本市場をどう捉えているのか、シャイアーの合併は失敗ではないか、大阪本社を売却、ついにリストラを開始、などと様々な声を聞くようにもなりました。

実際、現状はどうなのでしょうか。

この記事ではグローバル企業としての武田薬品、というより、日本最大手の武田薬品として日本市場が今後どうなっていくのか、にフォーカスしていきたいと思います。

それでは、よろしくお願いします。

くわしくご覧になりたい方はこちらへ(武田薬品工業IRページ)https://www.takeda.com/jp/investors/reports/quarterly-announcements/quarterly-announcements-2019/

2020年度第1四半期決算

2020年度第1四半期決算説明会資料より

全体的にはいかにも外資っぽいスライドになっていて、強引なほどポジティブな言い回しも投資家向けに作り込んでいる資料といった感じですね。

英語ができない人間の負け惜しみのようになりますが、個人的には内資系企業の決算発表資料の方が好みでした。

そんなことはさておき、業績について見ていきましょう。

業績はグローバルブランド14製品の実質的成長率+20%により達成、とあり、計画通りに推移しているようです。

また、主要な5つのビジネスエリアでの売上収益が83%を占め、実質成長率が6%とあります。

では、そのグローバルブランド14製品とはどの製品で、主要なビジネスエリアとはどの領域のことでしょうか。

主要なビジネスエリア、グローバル製品とは?

2020年度第1四半期決算説明会資料より

まず地球儀マークを横に付けている製品がグローバル14製品にあたります。

エンタイビオ、アロフィセル、Gattex、エラブレース、ビプリブ、Natpara、アディノベイト、Takhzyro、免疫グロブリン3製剤(GAMMAGARD LIQUID、HyQvia、Cuvitru)、アルブミン製剤(Flexbumin)、ニンラーロ、ALUNBRIGです。

皆さま、どれぐらいご存知でしょうか。

ちなみに私が知っていたのはエンタイビオ、ニンラーロ、ALUNBRIGだけでした…

そしてこれらの製品も含む主要5つのビジネスエリアとは消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー、ニューロサイエンスです。

ただ、今回の決算発表資料にはほとんど日本市場に関する言及がなく、この分野を見ても日本市場における武田のイメージとはかけ離れている気がしましたので、昨年度の決算発表資料で地域別売上を見てみました。

日本市場は?

2019年度決算DATA BOOKより
2019年度決算DATA BOOKより

こちらを見ていきますとだいぶ謎が解けてきました。

消化器系疾患

まず消化器系疾患領域においては日本市場で存在感を出しているのは印象通りタケキャブだけです。

武田のタケをつけるなど期待されていた薬剤とはいえ、700億超はさすがですね。

しかし、タケキャブはグローバル製品ではありませんので、武田としてはこれ以上は期待していないように見えます。

このギャップが決算発表資料と日本市場での印象の違いに繋がっていたのだと思います。

一方、現在武田の中で最も期待されているエンタイビオに関しては日本市場でももちろん売上アップを期待しているでしょうが、米国の売上規模から考えると微々たるものですし、日本でそこまで多くのMRを掛けられる製品ではないと言えるでしょう。

希少疾患

次に希少疾患領域ですが、日本市場で存在感を出しているのは血友病A治療薬のアドベイト、アディノベイトです。

元々バクスアルタが持っていた製品をシャイアーが合併に伴い取得し、そのシャイアーを武田薬品が買収したという経緯ですね。

ただ、こちらは中外製薬のヘムライブラが出てきたことによってマイナスの影響が出る可能性が高いと言われていますので、このまま伸ばしていくことは難しいでしょう。

血漿分画製剤

次は血漿分画製剤です。

こちらは私には理由はわからないのですが、日本の売上が計上されていませんので、飛ばします。

オンコロジー

そしてオンコロジーです。

オンコロジーは今一番伸びている領域ではありますが、武田としてはまだグローバルでも存在感が薄いです。

また、日本でも売上の大きい製品がリュープリンやベクティビックスということで、パッとしないと感じるのは私だけではないでしょう。

グローバル製品である多発性骨髄腫のニンラーロもプロテアソーム阻害薬の中で唯一の経口薬という特徴があり、国内では移植後の維持療法で使えるようになりましたので、使われる場面は増えると思いますが、臨床試験の結果はそこまでインパクトがないため、大きく飛躍することはないだろうと見ています。

米国でブレークスルー指定されたハイリスクMDSの治療薬は期待できますが、こちらもまずは米国市場での記載しかありませんでしたので、日本での上市までは時間が掛かるでしょう。

ニューロサイエンス

そして最後にニューロサイエンスですが、グローバル製品はありません。

ただ、日本では昨年末に抗うつ薬のトリンテリックスが発売になりましたので、専任部隊を作ったという話も出てきていますね。

武田として、これまで経験してこなかった領域であり、ピークセールスも200億円を超える予測を立てているようですので、ここ数年は力を入れていく製品でしょう。

一方でロゼレム、レミニールといった薬剤は後発品が出てくるまでなんとか売上をキープするような製品かと思います。

その他

そして個人的に最もインパクトがあったのがこちら。

ご覧頂きますと、その他の欄にアジルバ(767億円)、ネシーナ(278億円)、エンブレル(293億円)、ロトリガ(318億円)が入っております。

これらの製品はいわゆる武田といった印象で業界一の営業力で売上を作ってきたような製品群ですが、今期の決算発表では一切触れられず、昨年度決算補足資料の中のその他欄にひっそりと記載されておりました。

この4製品だけで国内1600億円超であり、グローバル製品ではないタケキャブも加えると2300億円を上回ります。

国内市場はこれらの薬剤が中心であることは疑いようのない事実で、おそらく今も多くの武田MRが一生懸命情報提供に勤しんでいる中、投資家向け資料ではこのような扱いであることに強い衝撃を受けました。

まとめ

ということで、今回は日本の誇る国内最大手グローバル企業、武田薬品工業について見てきました。

先日も「フューチャー・キャリア・プログラム」という名の早期退職を実施すると報道がありましたが、グローバルから見た日本市場を見ると当然かなと感じています。

投資家の目も厳しくなる中で、国内売上高に対するMR数といった観点は益々重要になってくると思いますので、引き続き決算資料を見て分析をしていきたいと思います。

少しでも参考になりましたら幸いです。

最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

コータロー

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