【高収益企業】塩野義製薬の2020年度第1四半期決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

前回一度MRのノウハウ的なものを挟んでみたのですが、あまり評判が良くなさそうなので、もう一度製薬企業の決算を見て企業分析のような内容に戻してみます。

とはいえ、いろんな内容でなんとか続けていきたいと考えていますので、どんな内容でもご覧頂けると嬉しいです。

今回は塩野義製薬(シオノギ)です。

シオノギといえば抗インフルエンザ薬のゾフルーザが一時期大きな話題となっておりましたね。

2018年度は発売ほぼ1年目にも関わらず、なんと売上263億円という怪物ルーキーぶりを示していましたが、その後、耐性ウィルスが問題視されたこともあり、2019年度はなんと98.4%減の4億円となりました。

このジェットコースターを超えてフリーフォールのような売上変化は製薬業界において前代未聞のことではないでしょうか。

また、シオノギで有名なのはもう一つ、HIVフランチャイズのロイヤリティ収入です。

昨年度の売上は3350億円でしたが、その内、3割を超える1271億円はHIVフランチャイズのロイヤリティ収入でした。

さらにクレストールなどのロイヤリティも含めると1656億円とほぼ半分がロイヤリティ収入であったわけです。

こんな製薬企業、他にはないです。

このおかげで営業利益率は40%近くになり、高収益会社の見本として経済誌にもてはやされてもいました。

確かに薬を製造する必要もないロイヤリティ収入であれば、売上原価がほとんど掛かりませんので、売上がそのまま利益に直結するというわけです。

凄いですね。

しかし、逆に言うと、MRが関わる売上ってどのぐらいなんでしたっけ、という話になってきます。

シオノギは老舗製薬企業ですので、MR数は1000名を超えます。

その1000名を超えるMRが今どんな製品を情報提供しているのか、非常に気になりますので、今回はそれを見ていきたいと思います。

くわしくご覧になりたい方はこちらhttps://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/investors/ir-library/presentation-materials/fy2020/P-200731.pdf

2020年度第1四半期決算

2020年度第1四半期決算説明会資料より

まずこちらが概要ですが、売上、利益ともに前年比10%以上減でかつ上期や通期予想からもショートしており、良い状態とは言えなさそうです。

新型コロナウィルスの影響で市場縮小とありますが、IQVIAのレポートによると2020年4〜6月期は5%程度の売上減少が見込まれるとありますので、10%以上となると、コロナ関係なしの要因がほとんどであると考えられるでしょう。

ちなみに決算短信を見ますと、その他の理由としては薬価引き下げが影響したとのことでした。

2020年度第1四半期決算説明会資料より

ただ、それでも利益はしっかり出せています。

ロイヤリティ収入の割合が大きいことにより、売上原価率は10数%(業界平均25〜30%)に抑えられているからです。

実際に売上が10%以上減少した今期においても営業利益率35%以上を保てているのは収益構造の強固さを如実に表したと言えるでしょう。

これが高収益企業と評価されている所以ですね。

むしろ製薬企業のビジネスモデルと異なるのでは、とすら感じました。

医療用医薬品の売上は?

2020年度第1四半期決算説明会資料より

ここからが本題です。

高収益であることはわかったけど、MRの生産性に関わる医療用医薬品の売上はどうなのか、が気になるところですよね。

こちらをご覧ください。

今期の国内医療用医薬品売上は前年比15.1%減の224億円です。

上期予想からも通期予想からも大幅に進捗が遅れていて、このままいくと1000億円を下回ってしまいます。

もちろん感染症薬が多いメーカーということもあり、季節変動があるのはわかりますが、それを差し引いても非常に物足りない数字ではないでしょうか。

でも、もしかしたら製品別にそれを補う理由が隠されているかもしれませんので、次は製品別についても見てみましょう。

製品別売上は?

2020年度第1四半期決算説明会資料より

製品別を見てみますと、補う理由があるどころか、ちょっと目も当てられない状況でした。

主力製品はうつや疼痛に適応を持つサインバルタですね。

こちらは日本イーライリリーからコプロフィーをもらう契約で、サインバルタの売上から考えると売上の半分弱がフィーとして入る形のようです。

このサインバルタでの売上が全体の3分の1近くを占めていますが、富士経済の予測によると来年には後発品が出ると想定されていますので、そのタイミングでコプロフィーは完全になくなってしまう可能性が高いでしょう。

次にADHDに使用されるインチュニブですが、こちらは現在武田薬品とのコプロです。

唯一大きく伸びている製品ではありますが、昨年度に続き上期予想、通期予想からどちらも大幅に進捗が遅れているのは気になるところですね。

それ以外の薬剤は売上規模が100億に満たない、かつ伸びていないということで今後も含めて期待できないでしょう。

このように製品別に見ても、MRがどの製品に力を入れるのかすら見えてこないという悲惨な状況であるということしか見えてきませんでした。

開発状況

2020年度第1四半期決算説明会資料より

開発品も直近国内で売上を期待できるものはないです。

ゾフルーザが予防投与に適応拡大申請しているものの自費診療対象になることが濃厚ですので、売上に大きく寄与することは難しそうです。

フェーズ1、2で神経障害性疼痛や精神疾患、アルツハイマー型認知症、NASHなどに試験を行っているようですが、市場に出てくるのはまだまだ先でしょう。

まとめ

今回は塩野義製薬の2020年度第1四半期決算を見て考えたことを書いてきました。

ロイヤリティ収入は相変わらず好調ですし、高収益企業であることは間違いなく事実でありましたが、MRの生産性は年間1億円を下回り、業界最低レベルです。

今は利益が大幅に出ているため、考えていないのかもしれませんが、合理的な会社であれば確実にMRを大削減しているでしょう。

MRの方はその辺りを理解した上で働く必要があると感じました。

2020年度第1四半期決算説明会資料より

少し暗くなってしまいましたが、塩野義製薬はロイヤリティ収入を柱に次世代の製薬企業モデルを模索している先進的な会社でもありますので、今後の展開には注目していきたいと思います。

それでは最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

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コータロー

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