大塚製薬の2020年度第2四半期決算を見て考えたこと

企業分析

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの

コータローです。

最近は製薬企業の決算発表を見るのが楽しくなってきましたので、引き続き決算発表を見て考えたことを述べていきたいと思います。

今回はポカリスエットでお馴染みの大塚製薬です。

大塚製薬といっても決算は大塚ホールディングス(大鵬薬品なども含む)で発表されていますので、それを元に書いていきます。

大塚ホールディングスの2019年度売上は13,962億円で国内製薬会社2位と大きな存在感を見せています。

大塚HD財務ハイライトより

製品別で見てもエビリファイ、サムスカ、イーケプラといったようにユニークなラインナップを有している会社ですね。

ただ、少し考え方が異なるのが先程も触れたポカリスエットやネイチャーメイドというブランドでサプリメントも展開しており、このニュートラシューティカルズ関連事業が20%強を占めるということです。

大塚HD財務ハイライトより

全く悪いことではないのですが、純粋に医療関連事業としての売上は1兆円を下回りますので、その点は踏まえて見ていくことが望ましいでしょう。

また、この記事に関してはあくまで医療関連事業だけにフォーカスして見ていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

それでは決算資料を見ていきましょう。

くわしくご覧になりたい方はこちらhttps://www.otsuka.com/jp/financial/pdf.php?financial=697

2020年第2四半期の業績について

2020年第2四半期決算説明会資料より
2020年第2四半期決算説明会資料より
2020年第2四半期決算説明会資料より

COVID-19による影響

まず前回同様COVID-19関連の影響についてどのように記載されているか見てみましたが、受診抑制、手術減少による輸液製品の売上減少、販売促進費・旅費等の減少など納得感のある内容でした。

他の記事でも書きましたが、個人的には製薬企業に関してはよっぽど製品ラインナップが注射製剤へ偏っていなければCOVID-19の業績への影響は今のところ少ないと考えていますので、必要以上にそのせいにしてしまっている企業があれば怪しい(コロナでなくても悪かった)と見るべきでしょう。

業績

計画に対しては少しショートしているものの前年同期比で増収できておりますので、全体的に順調と言えます。

特にグローバル4製品と銘打ったエビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ・ジンアーク、ロンサーフで前年比26.2%増と伸ばすべき製品で伸ばせているのは素晴らしいと感じました。

それぞれについては後ほど細かく見ていきたいと思います。

ただ、少し気になるのは収益構造です。

2020年度第2四半期決算補足資料より

販売管理費が40%近くあり、他の製薬企業と比べても比率が高いです。

また、その要因のひとつであるMR数に関しても下記の表のように2360名(グループ合算)と国内最大規模です。

2020年第2四半期決算補足資料より

これだけのMR数を抱えるのであれば、それ相応の日本市場での売上がもとめられてきます。

現在は好調をキープしておりますので、問題ないのかもしれませんが、今後業績が下がったときにはリストラによる人員適正化を図る可能性は高いと言えます。

日本市場を製品別で見てみると

2020年第2四半期決算補足資料より
2020年度第2四半期決算補足資料より

日本市場だけを記載している表やグラフがありませんでしたので、見にくいですが、こちら2020年1〜6月分の製品別業績で見ていきます。

日本市場で目を引くのはやはりサムスカです。

サムスカはV2受容体拮抗剤というユニークな機序を持つ利尿薬で心不全、肝硬変の浮腫に適応を有するとともに常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)、そして直近ではSIADHの低ナトリウム血症の改善も取得しました。

今年4月に2度目の薬価再算定(16.5%)を受けるなど難しい状況もありながら2020年度上期も321億円(3.9%増)と成長を続けているのは市場にしっかり受け入れられて、患者さんの役に立っていることの証と言えるでしょう。

また、最盛期には5000億円を生み出したエビリファイの後継品として期待される抗精神病薬レキサルティに関しても発売3年目で年間100億円規模に成長してきているのは順調な推移を示しています。

ただ、今期後半以降に大きなダメージとなるのは抗てんかん薬のイーケプラです。

これまで創薬会社であるUCBと共同開発・販売契約を結んでやってきましたが、その契約が今年9月で終了となります。

これにより年間400億円以上の売上がゼロになりますので、2021年度の業績に大きな影響を及ぼすことは避けられない状況です。

また、それ以外の売上を全て合わせても4000億円強ということで、やはり国内におけるMRの生産性は低いと言わざるを得ません。

日本市場の今後について

2020年度決算説明会資料より

まず大きいのは慢性心不全の適応を有するエンレストです。

以前から注目度の高かったノバルティスの製品ですが、共同プロモーション契約を締結し、活動を開始しています。

これは非常に良い共闘関係だと感じています。

と言いますのも、ノバルティスはディオバンなどの高血圧部隊はもちろんのこと、昨年エクア・エクメットといった糖尿病領域からも撤退しており、いわゆるプライマリーMRがいないため、循環器領域へのツテが全くなくなってしまっています。

それに対し、大塚製薬はサムスカでここ10年慢性心不全を主戦場としてやってきましたので、一番自信を持っている市場です。

また、イーケプラの販売契約終了に伴い、大塚製薬のMRは手余り状態になっていたと考えられますので、エンレストを迎え入れることに好意的であると考えられます。

その他にもこれから競争の激しくなる片頭痛治療薬のフレマネズマブの承認申請を行ったり、非スタチンの高コレステロール血症治療薬のベムペド酸の国内販売権を取得したりとありますが、少し長い目で見る必要があるでしょう。

まとめ

ということで、今回は大塚ホールディングスの決算発表を見て考えたことについて述べてきました。

やはりいわゆる製薬企業とは少し異なる世界観を持っている会社かなという印象ですが、それだけに興味深かったです。

ただ、昨日ニュースになっていましたが、今の時期に大鵬薬品が1ヶ月間集合研修を行っていて、12人中8人がコロナに感染してしまったというお粗末な話がありました。

非上場が長かったからかコンプライアンスが少し弱い印象もありますので、その辺りは注意してほしいところですね。

話は変わりますが、最近製薬企業を分析している内にわかってきたことは自社創薬品のみでまかなっていくのはほぼ不可能なんだ、ということです。

会社はその時々で買収や共同開発、共同プロモーション、国内販売権取得、などなど様々組み合わせていくことで売上や利益を確保していることを少しだけ理解できるようになりました。

今後もこのブログを通して自分自身も成長していきたいと思いますので、皆さまにとっても少しでもお役に立てますと幸いです。

最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

コータロー

コメント

タイトルとURLをコピーしました