MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたサラリーマンの
コータローです。
先日、大日本住友製薬の決算発表を見て考えたことについて記事にしたところ、ほんの少しだけ閲覧数が多かったので、今回はアステラス製薬の決算発表について記事にしてみようと思います。
アステラス製薬といえば2019年度の売上が1兆3008億円と国内トップ3に名を連ねる大手内資系メーカーですね。
ここ数年はグローバル製品でブロックバスターのイクスタンジの成長によって大きく飛躍したメーカーでもあります。
MR数は早期退職やアムジェンへの移管により一時期よりだいぶ減ったとは言え、1700人(2020年ミクス取材)ということで業界最多レベルです。
そんな大手企業ですが、今回の決算を見てる限り風向き良好とは言えなさそうです。
それではここから具体的に見ていきますので、よろしくお願いします。
くわしくご覧になりたい方はこちら
https://sw4503.swcms.net/ja/ir-library/business-results/inframe/main/016/teaserItems1/0/linkList/04/link/1q2020_jp.pdf2020年度第1四半期業績の概要



まず概要をご覧頂きますと、売上収益・コア営業利益はどちらも減少とあります。
ただ、あくまで主要製品の売上拡大は順調で減少理由はCOVID-19によるマイナス影響としています。
これまで製薬企業の決算をいくつか見てきましたが、COVID-19の影響をここまで大きく設定していた会社はありませんでした。
受診抑制に関しても基本的に医療機関は収益が下がって困っているわけですが、薬への影響はそれとは異なり、ほとんどの製品においてここまで大きな影響は出ていないはずです。
また、2020年度通期の下方修正も行っておりますが、欧州での流通積み増しの反動と記載がありました。
これは在庫の積み増しを2020年1〜3月に行ったと捉えると、その影響が通期にわたって出るとは考えにくいですので、ここにも違和感が生まれました。
これらはどこまで真実なのかはわかりませんが、全てのマイナス要因をCOVID-19のせいにしてしまっているようにも移りましたので、もう少し細かく見ていきたいと思います。
日本市場を考える

ここまではグローバル全体の発表資料に突っ込みを入れる形になってしまいましたが、これだけの大きな会社となると様々な要因が絡み合ってあのような文言になっているだけかもしれませんので、ここからは気を取り直して日本市場について見ていきます。
やはり日本のMR数を決める上で1番重要視されるのは日本市場での売上や将来の見込みかと思いますので、その辺りが気になりますよね。
ということで、上記の表(細かくて申し訳ございません)をご覧頂きますと、まず気になったのが合計の数字です。
昨年2019年1Qの売上979億円に対して、今期は769億円と200億円(20%)以上もマイナスになっています。
日本市場、四半期でこれだけ売上が下がるのはなかなかインパクトがあります。
製品別に細かく見ていきますと、シムビコートとミカルディスの販売契約終了が多くを占めるということで、以前から言われていたように自社創薬品が少ないことが影響していると言えます。
また、これに加えて6月にはセレコックスも後発品が発売されましたので、製品の特性を考えても7月以降大きく売上が落ち込むことは避けられないでしょう。
そして、もうひとつ気になったのが今回のコロナ禍決算において販売管理費が増加していることです。
米国でのイクスタンジの共同販促費が増加してとはありますが、あれだけMR活動を活動を自粛している中でこのような結果が出るのは経費管理の甘さを感じざるを得ませんでした。
このような状況もあり、2020年度は日本市場で2756億円の着地を予想となっております。
この売上ではMRの生産性は約1.6億円と製薬企業平均を下回り、またMR数の削減になりかねないと感じました。
開発状況

開発品の状況についても主となるものはあくまで米国でのイクスタンジです。
AMLのゾスパタも良い薬剤とは言えますが、売上ボリュームを見込むにはもう少し時間が掛かりそうです。
日本におきましては今年1月に腎性貧血のロキサデュスタットを申請しておりますが、こちらも競争の激しい分野ですので、2021年に承認となっても立ち上がりには時間を要すると考えられます。
まとめ
ということで、今回はアステラス製薬の2020年度第1四半期決算について勝手に見てきました。
感想としては、少し違和感がある説明や結果があり、もし投資家であれば魅力的には感じにくいのかな、というところで、特に日本市場の落ち込み具合が心配になりました。
ただ、そうは言っても国内大手の一つですので、これからも日本市場の牽引を期待していきたいと思います。
それでは最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。
コータロー
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