今勢いのあるヘルスケア企業分析 〜Welby編〜

企業分析

こんばんは、コータローです。

前回、前々回に引き続き今勢いのあるヘルスケア企業について見ていきたいと思います。

今回は、Welby(ウェルビー)

できる限り製薬業界に関わりがあるところから調べていきたいと思っていたところ、このWelbyに辿り着きました。

と言いますのも、製薬企業が出している疾患や薬ごとのアプリってありますよね?

取引がある製薬企業であれば、MRからも案内できるようなパンフレットが渡されたりしているかと思います。

そのアプリを製薬企業の意向を聞きながら開発や運用を主に行っている企業がWelbyであり、この領域ではリーディングカンパニーのようですので、実際どのようなビジョンを持ってサービスを展開されているのか、といったことを調べてみました。

ご興味がありましたらご覧頂けますと幸いです。

※こちらを元に作成しています。2020年12月期第2四半期決算説明会資料

Welbyとはどんな会社?

2020年12月期第2四半期決算説明会より

まずMission/Visionですが、こちらのスライドにありますように「患者が、自ら情報を得て、自ら行動して、自ら判断する」となっています。

これまで医療業界はサービスする側とサービスを受ける側の情報格差(情報の非対称性)が最も大きい業界と言われてきました。

サービスを受ける側の「患者」はサービス提供側の「医者」が決めたことを言われるがままに受け入れる、という状態のことです。

これは必ずしも悪いことではないのですが、通常のサービスとは異なりますよね。

例えば、食品などはサービスを受ける側が選びやすいように情報開示が強く求められるようになりましたし、家電製品などは買う前に情報を比較して決めることが多いでしょう。

一方で医者と患者の関係においては問診や検査を行った後に、それに応じて医者が決めたことを患者はそのまま受け入れるだけ、ということが多いかと思います。

しかし、こうなってしまうと、患者側は万が一適していない治療が施されていたとしても気付くことすらできません。

また、医者側としても患者が最低限の情報を理解していないと会話が成立せず、治療中の変化についても興味を持ってもらえないと治療目標にいつまで経っても到達できないということになってしまうわけです。

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、Welbyはこのような情報の非対称性を解消すべく、これらのMission/Visionを掲げているのだと思われます。

基本的にヘルスケア企業の目指すゴールは似てくると考えているのですが、前回分析したメドピアが「医師を支援すること」であるのに対してWelbyが「患者自らが判断できること」と対比になっているのは、個人的に面白く感じました。

事業内容は?

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

まずWelbyといえば、PHR(Personal Health Record)のリーディングカンパニーですので、PHRについて引用文にて説明しておきます。

PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)とは、複数の医療機関や薬局などに散らばる健康関連の情報を1カ所に集約する仕組みをいう。身長や体重、血液型、アレルギー・副作用歴といった基本情報のほか、医療機関の診療記録、薬局の投薬履歴、スポーツジムでの運動実績、自宅で測定した体重や血圧などの情報を生涯にわたって一元管理する。

日経メディカル 2009年8月18日記事より

そして、Welbyのサービスとしてはスライドのような流れで進みます。

医療機関用もしくは製薬企業と一緒に開発したアプリを患者さんに提供し、患者自身が体調のことや食事、運動、薬、その副作用について、などの情報をそのアプリに入力していきます。

HRジョイントといった簡易検査機器も使えばより正確な情報が得られるようですし、今後はApple Watchなどのウェアラブルデバイスなどの情報もスムーズに移行できるようになっていくでしょう。

それをすることで、今までは見えていなかった外来までの期間についても経時的に推移を見ることができますので、それを印刷したり、そのまま見せることで医者との情報共有が図れます。

こうすることによって患者側も自身の変化に気付きやすくなりますし、医者側もより多くの情報から正しい治療選択をすることができますので、有効な治療に繋がったり、具体的な生活習慣指導であったり、治療継続ができるようになったり、と多くのメリットが与えられるというわけです。

また、コロナ禍で一気に躍進したオンライン診療とも相性が良さそうですね。

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

こちらのスライドはWelbyのビジネスモデル概要になっておりますが、冒頭にありましたようにやはり①製薬企業向けのアプリ開発が現在のメインの事業になっています。

それをMRやMSを通じて医療機関に情報提供する、もしくは広告などを用いて直接的に患者への使用を促すという形ですね。

医療業界においては1番の支払者は製薬企業と言われていますので、まずなにより製薬企業にとって魅力的なサービスを作って成功させたことが上場できた要因と言えるでしょう。

②はマイカルテ事業と言われる医療機関向けサービスですね。

ただ、この手のサービスに医療機関がお金を出すとなると非常にハードルは高いと考えられますので、おそらく売上はまだまだ限定的ではないかと思います。

また、今後大事になってくるのはこれらを使ってもらって出てきた情報がどこまで蓄積されてくるか、です。

これがビッグデータと呼ばれるレベルで蓄積されてくると、それらのデータを二次利用することで、新たなサービスも生まれ、好循環になるかと思われますが、そこまではまだまだ時間が掛かるのではないか、と考えています。

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

また、Welbyの強みとしては各社と広範囲のサービス開発に携わってきたことでしょうか。

こちらのスライドを見てみると、一通りの製薬企業と取引をしていることがわかりますね。

疾患領域もニッチなところまでカバーできているので、同じ土俵では簡単に負けない状態になっていると言えるでしょう。

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

またコロナ禍においては4月からこのようなCOVID-19チェックツールも開発して会員数は増えてきているようですね。

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

この76万人という会員数に関しては非常に頑張っているように感じる一方でデータビジネスを行う上では厳しいのではないかと思います。

強みは既に特定の疾患に罹患されている人だけを集められる点だと思われますが、やはり最低限データ量は必要になるのではないかと思われます。

2020年12月期第2四半期決算説明会資料より
2020年12月期第2四半期決算説明会資料より

あとはオンコロジーに携わってきた身として個人的に期待したいのはこちらですかね。

やはり製薬企業毎にアプリを開発してもほとんどは使用されていない現状がありますので、このアプリのようにオンコロジーに特化したもので、かつ、がん診療連携拠点病院に普及させていくことができれば、本質的な問題解決に繋がる気がしています。

これを本気で普及させるのは簡単なことではないと思うのですが、どうせやるならがん診療連携拠点病院を網羅するぐらいの覚悟でやってほしいところです。

まとめ

今回は「今勢いのあるヘルスケア企業分析 〜Welby編〜」というテーマで書いてきました。

今年の業績も悪くありませんし、このスライドにありますように、確かに今後様々な事業がシナジーを発揮すれば、面白い展開になっていくのかな、とは思いますが、エムスリー、メドピア、JMDC、メドレーといった企業から比べるとまだまだ本質的な課題解決ができていない印象を持ちました。

今後、製薬企業との取引を増やしていくだけではジリ貧になるかと思われますので、医療機関向けのサービスをいかに拡大して、会員数を増やすかが鍵になりそうですね。

あとはオンライン診療やウェアラブルデバイスとの連携でしょうか。

いずれにしても面白い会社のひとつだと思いますので、頑張ってほしいところです。

ということで、最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

コータロー

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