こんにちは、MRからキャリアチェンジしたコータローです。
今回は久々に企業分析をしていこうと思います。
と言いますのも、製薬業界がどんより暗い中で一歩外に目をやると業績、株価ともに絶好調というヘルスケア企業がどんどん目に入ってくるからです。
MRの方にとって馴染みの深いエムスリーはもちろんのこと、メドピアやメドレー(過去記事)、ケアネットやMDVなど、上場している企業はどこもコロナ禍において業績を伸ばし、それに伴い、株価も3倍、4倍と上がっています。
そして、これらの会社は製薬企業相手にもビジネスを展開してそれぞれ成功を収めているようですね。
ということで、そんな勢いのあるヘルスケア関連企業の中から今回はJMDC(読み方はジェーエムディーシー?ジャムダック?)について見ていきたいと思います。
製薬業界含め広義のヘルスケア業界に所属している人にとっては今後知らないと恥ずかしいレベルの会社になってくるかもしれませんので、興味がありましたらご覧頂けますと幸いです。
JMDCとは何をしている会社?

まずこちらがJMDCグループの事業概要となります。
元々古くから行っている事業としてはヘルスビッグデータ事業です。
これが根幹になっていて、その後シナジーを発揮できる事業を買収をしながら拡大しているようですね。
それぞれもう少し具体的に見ていきます。
ヘルスビッグデータ事業

まずJMDCがどんなビッグデータを持っているかと言いますと、主にレセプトデータや健診データです。
レセプトはご存知のように病院が診療行為を行ったときに点数を保険者に請求するものですね。
いわゆる病院内での診療に関してはそのまま病院から請求をし、薬を処方した際は患者さんがそれを調剤薬局に持っていって薬を渡して、調剤薬局がそのレセプトを請求します。
また、健診データはそのまま健康診断で出てくる結果のことですね。
そのレセプトデータや健診データを医療機関や保険者などから、ものすごい数集積して、分析したり、解析ツールにしたりしてサービスにしているのがJMDCというわけです。
最近RWD(リアルワールドデータ)という言葉が飛び交っているかと思いますが、まさにそのRWDの元がこれということですね。

そして、JMDCが持っているこのデータは国内最大規模かつ年率25%の勢いで増えている、ということで、蓄積される度に評価は高まっており、現在は1000万人近くのデータを保有しているようです。
これってなんか凄くないですか?マイナンバーカードより浸透していたり…

では、そのデータはどういうところに使われているか、それがこちらのスライドです。
事業規模として1番大きいのは①の製薬企業や保険会社です。
そしてその中でもおそらく製薬企業が最も多くを占めているのでは、と想像しています。
用途としては、治療効果や副作用の発生状況解析などに活用、とあります。
製薬企業としてはこれらの情報を把握することにより、実臨床下でどのような問題が発生しているのかを知ることができます。
まさにRWDの活用というやつですね。
さらにはそのデータを論文化するというところまでサポートしていたりするようです。
また、それ以外にもおそらく営業やマーケティングにも活用されてくるのでは、と考えています。
これはイメージしやすいですよね。
レセプトデータが集まっているとなると、どの薬がどのぐらいの用量で使用されているか、などは一目瞭然です。
ですので、それらのデータが集まってくると、営業戦略にも活用できるというわけです。
2つ目は健保向けですね。
製薬業界であれば各社で健保を作っていることが多いかと思いますが、その保険証で受けた医療についてはデータが集積されていきますので、そのデータを活用して、例えば糖尿病の重症化リスクがある人には受診アラートが出て、重症化抑制につなげるといったようなことです。
これをしてもらうことで健保は高い医療費の掛かる治療を減らすことができますので、結果的に健保全体の保険料を抑えられるというわけですね。
さらに個人向けに関しては、最近Apple Watchが医療機器として使えるようになる、といった話題も出てきましたように、各個人が健康を自発的にマネジメントすることに対してサービスを展開しているようです。
個人用アプリを開発して、それを使ってもらい、ライザップや食事アプリなどと連携して、健康維持を促進するといったものです。
個人的な印象としてはお金を出して健康を買う、というのはハードルが高いような気もしますが、最近は健康志向の高まりも手伝ってか順調に伸びているようですね。
そして3つ目が医療機関向け。
医療機関に対して、経営指標を分析するサービスや臨床データの分析、添付文書DBの独自アプリケーションを提供したりとこちらも幅広くやっています。
こちらも競合がいない領域ではないと思うのですが、やはり根幹となるデータ量が多いからか、非常に急速な立ち上がりを見せているようですね。
特に薬剤DBアプリケーションの売上が大きいみたいですが、なぜそこまで受け入れられているのか実際に見てみたいところではあります。
このようにヘルスビッグデータ事業だけを見ましても、それぞれのサービスでしっかり伸びている状況でありますので、市場から評価されるというのも頷けますね。
遠隔医療事業

ようやく2つ目、遠隔医療事業です。
こちらはいわゆる遠隔医療のイメージとは違いますが、いかにも素晴らしそうな事業だと思いました。
内容はこのスライドの通りですが、要は外注で画像診断を実施してくれるサービスですね。
確かに放射線科で診断専門の医師なんて、非常に少ない印象ですし、足りていないと言われれば納得です。
画像診断で早期がんの見落としが、なんてことがあれば大変なことですし、AIが発達すれば、という話もよく出てきますが、やはり責任問題がついて回ると思いますので、簡単ではないですよね。

しかもこのサービスの伸び方も半端ないですね。
業界最大手で専門医5500名中の740名と契約しているとなると後から追い抜くのはほぼ不可能ですし、症例経験が集まれば集まるほど、信頼が高まっていくことでしょう。
素晴らしいサービスであるとともに、ビジネスとしての安定感もあって、これだけの規模の売上になっているというのは文句のつけようがないです。
調剤薬局支援事業

3つ目は調剤薬局向けの電子薬歴・レセコンのソフトウェアです。
おそらく調剤レセプトを集積していく中で調剤薬局向けビジネスを拡大するに至ったのではないかと思われます。

他の事業と比べると競合優位性が高くない印象もありますが、つい先日にはこちらの新たな製品も発表されたり、Web問診のサービスがメドレーのCLINICSと連携できるようになったということで、利便性は高まっているようです。
そうなるとオンライン診療にも対応できたり、自社の先程の個人向けアプリとの連携ができたりと可能性は広がっていくと思われますが、やはり競合との戦いは常についてまわりそうですね。
まとめ
ということで、今回は「今勢いのあるヘルスケア企業分析 〜JMDC編〜」をテーマに書いてきました。
厚労省がデータヘルス改革を推進しているということもあり、ヘルスケア領域のビッグデータ活用は大きなトレンドのひとつです。
その大きなトレンドを牽引する企業のひとつとしてJMDCは欠かせない企業かな、と思いましたので、挙げさせて頂きました。
今回は私自身の勉強も兼ねて、という感じですので、知っている人からすると当たり前かもしれませんが、ご存じない方が製薬業界の一歩外を知ってもらうために参考になりましたら幸いです。
それでは、最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。
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コータロー
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