【MR募集開始!】アッヴィのベネトクラクスの売上予測をしてみた

MRの仕事

MR(医薬情報担当者)からマーケティング職にキャリアチェンジしたコータローです。

最近、アッヴィのオンコロジーMR募集開始(MRBiz)が話題になっていますね。

これだけ大々的に募集を掛けるというのは最近では珍しいことですし、それだけベネトクラクス(製品名:ベネクレクスタ)のAML適応拡大に期待が掛かっていることの表れかと思います。

私自身も3年ほど前から注目していたのですが、当時1番担当してみたい領域、製品でした。

それにしても一般名より製品名が言いにくい薬というのも珍しいですね。

全然覚えられません。

そんなことはさておき、今回は血液がん領域を複数社に渡って経験してきた私がこのAMLに対するベネトクラクスの売上予測をしてみます。

いくら注目されている薬とはいえ、ある程度日本での売上が一定見込めないと100名規模のMR組織は作らないと思いますので、その根拠について迫っていこうと思います。

既に応募された方や応募を検討している方、また単純に興味がある方はご覧頂けますと幸いです。

ベネトクラクスとは?

プレスリリースより

ベネトクラクス(製品名:ベネクレクスタ)について簡単におさらいしますと、既に昨年の9月にアッヴィが発売した経口薬でBCL-2阻害とこれまでになかった作用機序を持ちます。

BCL-2とはがん細胞のアポトーシスを抑制してしまうタンパク質で、白血病の患者さんではそれが過剰発現しているので、それを阻害することでベネトクラクスは抗腫瘍効果を示します。

現在の適応は再発難治のCLL(慢性リンパ性白血病)のみなのですが、このCLLというのは元々日本人に少なく、予後も長く、イブルチニブという強力な薬剤もあるため、日本ではほとんど出番がないような状況だったのではないかと考えています。

だからこそ大々的な募集はこれまで行われてこなかったというわけですね。

ちなみに剤形は錠剤で10mg、50mg、100mgがありまして、それぞれ薬価は下記のようになっています。

  • 10mg 872.8円
  • 50mg 3956.6円
  • 100mg 7585.9円

AMLについて

一方で今回適応追加を予定しているAML(急性骨髄性白血病)は白血病の中では1番割合が高く、約半数を占めます。

また、AMLというのは薬物治療が奏功すると言われ、数々の画期的な薬剤を生んできた血液がんの領域でも1番の未解決領域です。

まさにアンメット・メディカル・ニーズですね。

特に今回対象のunfit AMLというのはAMLの3分の2を占めるにも関わらず、ほとんど満足のいく治療がなかったという非常に苦しい領域でしたので、新薬の登場は待たれていました。

ベネトクラクスの成績は?

そんなunfit AML対象にベネトクラクスが行っている試験は2つあり、VIALE-A試験とVIALE-C試験です。

この2つの試験を根拠に今年の6月29日に申請を上げています。

VIALE-A試験

1つ目のVIALE-A試験は今年のEHAで発表されて注目を集めた試験ですね。

試験デザインは(詳細は省きますが)新規AMLを対象にベネトクラクス+アザシチジンとプラセボ+アザシチジンで比較していて、主要評価項目はOSです。

この試験においてプラセボ+アザシチジン群のOS 9.6ヶ月に対してベネトクラクス+アザシチジン群は14.7ヶ月、ハザード比も0.66としっかり有意差を出しています。

控えめに言っても凄い結果です。

ただ、ひとつ気になるのはアザシチジン併用ということです。

アザシチジンは日本新薬が販売しているのですが、日本ではMDSにしか適応がありませんので、そもそも一緒に適応追加になるのか、といった点や、アザシチジンは7日間連続注射が必要な薬剤ですし、血球減少などの副作用も結構キツく出ます。

そもそも強力な化学療法ができない人に対して臨床でここまでできるのか、という点は少し気になりました。

VIALE-C

一方でこちらのVIALE−C試験は臨床的には導入しやすい治療です。

アッヴィ社のプレスリリースを参考

と言いますのも、通常unfit AMLの方に行われる低用量シタラビン療法にベネトクラクスを加えた使い方だからです。

明らかに増える副作用も今のところは好中球減少ぐらいしか見当たらないため、比較的安全に有効性を加えることができます。

ただ、ここが難しいのですが、この試験は主要解析時に主要評価項目のOSは延長できませんでした。

OSの中央値はベネトクラクスを加えた群で7.2ヶ月、加えない群の4.1ヶ月を上回っているように見えるのですが、データのバラつきもあったようで統計的有意差は出なかったようです。

そしてさらにややこしいのが、その後6ヶ月間の追跡をした事後解析においてはOS中央値8.4ヶ月と延長が認められたということです。

確かにこのような状況は考えられますが、どのようにPMDAが判断するかは難しいところなのではないでしょうか。

投与方法はどうなるのか?

これらの結果により、基本的にはアザシチジン併用のみが使えることになるはずなのですが、両試験で申請していることを踏まえると、臨床的な有用性を加味して低用量シタラビンとの併用も使えるようになってくれないかな、と個人的には期待しています。

ベネトクラクスのAML売上予測をしてみた

少し前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題のAML売上予測(日本)に入っていきたいと思います。

まずこちらをご覧頂きますと、白血病の新規罹患数は年間14,000人程度です。

その内、AMLが約半数とすると7000人が対象になります。

また、その中で強力化学療法や同種移植の対象となるのが3分の1程度ですので、残りの4700人程度がいわゆるunfit AMLです。

少ないように感じるかもしれませんが、元々ニッチな血液がん領域においてこの人数は結構多いです。

ただ、4700人いたとしても3割ぐらいの方は状態が悪すぎたり、治療を望まれない可能性もありますので、3300人を治療対象とします。

ここで先程のアザシチジン併用か、低用量シタラビン併用か、という問題が出てきますので、一応どちらもシミュレートしておきましょう。

アザシチジン併用の場合

3300人の治療対象のうち、アザシチジン併用で治療しようと考える医師はさらに半数になるのではないかと思われます。

先程も触れましたようにアザシチジンは血球減少を中心とした副作用が特に投与初期に起こりやすいからです。

MDSで使用経験が豊富な先生であれば、その後血球が戻ってくることがイメージできるため、アグレッシブに治療しますが、まだまだマネジメントが難しいと考えている先生は多い印象です。

ということで、アザシチジン併用のみで考えると、年間1,650人に投与されると想定します。

投与期間はEFS(無イベント再発期間)の9.8ヶ月で考えます。

投与量については、投与方法が1日目100mg、2日目200mg、3日目以降400mgの28日サイクルを回していきますので、そのままの投与量で考えると平均投与量も400mgになりますが、アザシチジンと併用で血球減少に加えて、発熱性好中球減少症の40%程度出ているので、日本人では平均投与量は200mgぐらいに落ち着くだろう、と考えました。

1日200mgでは1日約15,000円、月45万円になります。

これらを踏まえると、1,650人(患者数)×9.8ヶ月(投与期間)×45万円(月薬価)=72億円となりました。

対象患者さんや平均投与量や少し控えめに考えすぎましたかもしれませんが、アザシチジン併用の場合のベネトクラクス売上予測結果はこちらとなります。

低用量シタラビン併用の場合

次に個人的に本命のこちらです。

そもそも適応が通るか未知数ですが、見ていきましょう。

先程と異なるのは3300人の対象にはほぼ全て投与できると想定していることです。

一方でEFSはプレスリリースにも記載がありませんでしたので、VIALE−AのOSとEFSの割合を参考にOSが8.4ヶ月に対してその割合を掛けて投与期間は5.6ヶ月と設定しました。

そして投与量ですが、投与方法は同様とすると、アザシチジン併用の際よりは副作用が少ないと考えられますので、平均投与量は300mgと考えました。

これらを踏まえると、3300人(患者数)×5.6ヶ月(投与期間)×67万円(月薬価)=124億円となりました。

この売上が確保できるとなると血液がんの領域ではなかなかインパクトがありますね。

多少空想も入ってしまっておりますが、多くの患者さんに恩恵を与えられるためにも、ぜひこちらの適応も通ってほしいなと考えています。

まとめ

今回は「アッヴィのベネトクラクスの売上予測をしてみた」というテーマで書いてきました。

あくまで1年間単位での想定ですので、もし長期で継続できる方が出てくれば上積みもできてくるのかな、とは思いますが、AMLという白血病はなかなか厳しい疾患という認識も強いため、そこまで期待するのは酷かなと考えています。

いずれにしろベネトクラクスはAMLという困難な疾患に対して、素晴らしい成績を出している薬ですので、MRとして担当するとしても非常に魅力的な薬であることは間違いありません。

AMLを理解するとなると血液内科領域全般の知識も必要になりますので、本当に大変かとは思いますが、いろいろ差し引いても今回の募集は千載一遇のチャンスと言えます。

興味がある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

それでは最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。

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コータロー

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